楽曲解説:angel fall – ゴスペルをテーマに書いた曲 –

6th Album 「COSMONAUT」収録/アルバム曲
作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2009年夏

angel fall は6枚目のアルバム COSMONAUTに収録されているアルバム曲です。藤原さんの歌い出しから始まり、ゴスペル調のコーラスワークが魅力的なザ・アルバム曲という1曲です。今回はこの曲の解釈や解説、紹介を行います。

「ゴスペル」というテーマ

2009年、ボーカルの藤原基央さんは新しい作曲方法を試していました。デビュー以来自宅で作曲していた藤原さんでしたが、一人で書いていると納得するまで何度も筆を止めたり、書き直してしまい、本人曰く”メビウスの輪”の状態で時間がかかっていました。

そんな状態を見かねたプロデューサーMOR(森徹也)さんは、藤原さんの作曲の才能を引き出すため、あえて曲ができていない状態でスタジオを予約し、その小さなブースで作曲するように誘いました。そこでプロデューサーは藤原さんに色々な”お題”を与えて、藤原さんがその場で曲を書くという流れに変わり、作曲ペースが格段に上がりました。

元々はプロデューサーに 「ゴスペルを書いて」 ってリクエストされて、きっと『supernova』みたいな曲のことを言ってるんだろうなと思って。俺は俺で、跳ねものがやりたいと思ってて、じゃあ跳ねものでゴスペルやればいいか、みたいな感じになった – 藤原 – 

「曲が望む形」を追究している藤原さんが「跳ねものをやりたい」という主旨の発言をしているのは私にとって正直意外でした。曲の姿第一主義である藤原さんも、自分の作りたい音楽というのがその時々にあるということですね。

プロデューサーに与えられたテーマにせよ、「曲が望む形」よりも藤原さん自身の好みがにじみ出ていることがわかります。

つくづくこういうの好きだな、俺。って思った。AB構成のオンコードっぽい感じが – 藤原- 

AB構成とは、基本的にAメロとBメロのみで構成される曲のことで『リリィ』や『プラネタリウム』、『GOOD LUCK』、『Smile』などがそれにあたります。AメロまたはBメロ、もしくはその両方がサビを兼ねている曲です。

オンコードとはルート音(基幹音)を変えずに、構成する和音だけを変えるコードで、響きに安定感をもたらせる効果があります。藤原さんの初期の曲『ガラスのブルース』や『アルエ』、『ナイフ』のイントロで多用され、イントロ以外でも『ベンチとコーヒー』(Aメロ)や『fire sign』(Aメロ)、『supernova』(Aメロ)でも使用されています。

これまで何度もインタビューで”曲が望む”アレンジを作ると述べていた藤原さんですが、実際は自身の音楽的嗜好がかなり反映されているのですね。

この曲については・・・ざっくりとさせておいてください。焦点が当てにくい曲なんですよね・・・。 – 藤原 – 

歌詞の<ひとり減った未来も ひとり多かった過去も>はバンド自身の歴史に言及していると思います。完全に忘れ去られた5人時代のメンバー”あいつ“のこともしっかりとバンドの記憶として残っているのかも知れません(推測ですが)。ちなみに現在”あいつ”とメンバーは連絡を取っていないことがわかっています。

タイトルについて

パッと思いついた。大きな滝で、俺の大好きな滝の名前なんだよ。場所はカナイマ国立公園、ベネズエラ!滝の上から下まで1kmくらいあってさ、途中で霧が霧散しちゃうから滝壺がないの。実際見た事はないんだけど、前からすげぇなって思ってて。(中略)しかもエンジェルフォールがある山自体もすごいんですよ。テーブルマウンテンっていう山なんだけど、本当にテーブルみたいなの。歌詞を書き終わった後に(タイトルを)どうしようかなぁって考えた時に、パッと思いついたんだよね。  – 藤原 –

『jupiter』や『ダンデライオン』、『宇宙飛行士への手紙』など、藤原さんが単純に好きなものの名前をタイトルにすることがあり、angel fallもそうです。ただ『ダンデライオン』と違い、詞の中には滝に関する言葉は出てきません。

全て”曲のため”と言っている藤原さんの発言からは、これまた(批判的な意味でなく)意外な発言です。ちなみに木星やクジラなど”でかすぎるモノ”が昔から好きな理由として、その凄さの中に畏怖や畏敬の念を感じからだといいます。

レコーディング

曲の雰囲気に呑まれた。今まで聴いた事がない曲でびっくりして…。これは本当に自由にやらせてもらったんで、心地いいビートにのって演奏出来て、凄い楽しかった – 直井 – 

初めて聴いたとき、凄く綺麗な曲だなぁと思ったのを覚えてます。他の曲と一緒に聴かせてもらったんだけど、その当時は出てくる曲がどれも本当に凄いなぁって感じだったんだけど、その中でも凄く綺麗だなって思った。(中略)叩いたものをエディットして組み合わせたのは初めてだった。最初に聴いた時の神聖な感じとか綺麗な感じはちゃんと表現できるものになった – 升 –

ドラムの升さんはリズムのループトラックを作成するのに試行錯誤しました。レコーディングで使われているサウンドに辿り着くまで、プリプロで何回も試したがうまくいきませんでした。試行錯誤の末に、叩いた音をエディットして組み合わせて行くという手法を始めて試しました。

ライブ

アルバムレコ発となったGOOD GLIDER TOUR(2011-2012年)、GOLD GLIDER TOUR(2012年)で演奏されまし。直井はライブでMIDIキーボードを演奏しており、担当楽器以外の演奏はBUMP史上初めての試みでした。

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